
こんにちは。発達ジョブの青芝夏樹です。発達障害者の仕事探しに関して、情報を発信しています。
発達障害があると、思い込みが強くなることがあります。それは、どうしてもゼロ百思考という極端な思考に走りやすい特徴があるからです。
自分にはそういう傾向があるかもしれないと思っておくことは大切です。
思い込みを修正する方法として、認知行動療法があります。認知行動療法は、認知療法と行動療法を合わせた療法のことです。
認知行動療法は、薬物療法にも引けを取らない効果が医学的にも認められています。
自動思考とスキーマ
認知行動療法を行う上で大切なことの中に、自動思考とスキーマというものがあります。
自動思考
自動思考とは根拠なく自動的に思い浮かぶ考えのことで、例えば、サングラスをかけて派手な服を着ている人を見ると怖いと感じるとか、子猫を見るとかわいいと感じるなどがあります。
スキーマ
スキーマとは中核信念(コア・ビリーフ)と言われるもので、信念のもっとも重要な核となるものです。
スキーマの例
- 自分はダメな人間だ
- 自分は嫌われている
- 誰もわかってくれない
- 私は利用されている
- 自分一人では何もできない
- 自分には価値がない
- 自分は認められていない
- 自分は愛されていない
- 自分は大切にされていない
- 他人は信じられない
- 親は信用できない
- 世の中は危険だ
- 自分は良い人間だ
- 自分は人に好かれやすい
- みんなわかってくれる
- 努力すればできる
- 自分は価値がある人間だ
- 自分は人に認められている
- 自分は愛されている
- 自分は大切にされている
- 他人は信用できる
- 親は信用できる
- 世の中は楽園だ
自動思考とスキーマの関係
自動思考とは自然に湧いてくる感情(考え方)のことで、スキーマは自動思考を生み出す材料のことです。スキーマがあるから、自動思考が生まれます。
例えば、「自分には価値がない」というスキーマを持っていたとします。仕事でミスをして上司に怒られたという出来事があると、「自分はやっぱりダメなんだ」という感情や考えが自動的に浮かんできます。
スキーマと観念の関係
観念とは、主観的な物事の捉え方のことを言います。価値観であり、判断基準です。
顕在意識と顕在意識

潜在意識とは、過去の経験などによって無意識のうちに蓄積された価値観 、習慣、思い込みから形成された、自覚されていない意識のことです。潜在意識の「潜在」とは「潜っていて見えないが存在する」といった意味合いの言葉です。対して、顕在意識とは心の中に明確に自覚されている意識のことです。顕在意識と潜在意識の割合は5:95と言われており、ほとんどが意識できない潜在意識となっています。つまり、無意識に反応しているということです。
顕在意識とは、普段意識することのできる意識のことです。表層意識とも言います。
スキーマは顕在意識(表層意識)なので、意識すれば見つけることができますが、観念は潜在意識(無意識)なので、見つけることが難しいです。

スキーマは観念により生み出され、観念は経験により生み出される
例1 「テストで90点以上取らなければならない」という観念を持っているとすると、80点だった場合「ダメだった」という評価(スキーマ)が生まれる。「テストで90点以上取らなければならない」と観念は、親から言われていたとか先生に言われていたとか過去の経験から生み出されたと考えられます。
例2 「普通でなければならない」という観念を持っていたとすると、友人から変わっているねと言われれば、「自分はダメな人間だ」などという評価(スキーマ)が生まれます。「普通でなければならない」という観念は、小さい頃に親や先生から「みんなと違うことしたらダメだよ」と繰り返し教えられてきたことなどから、身についたと考えられます。
スキーマは結果であり、観念が原因である
例1 「テストで90点以上取らなければならない」という原因により、80点だった場合「ダメだった」という結果が生まれ、100点だった場合「良かった」という結果が生まれます。
例2 「普通でなければならない」という原因により、変わっているねと言われた場合「自分はダメな人間だ」という結果が生まれ、普通だねと言われた場合「自分は普通の人間だ」という結果が生まれるということです。
スキーマは感情に関係なく生まれ、観念は強い感情によって強化される
例1 「テストで90点以上とらなければならない」という観念を持っているとすると、欲しいものが手に入りうれしい気持ちになっていても、テストで80点なら感情に関係なく「ダメだった」という評価(スキーマ)が生まれる。ダメだったので嫌な感情が生まれているから、余計に「テストで90点以上とらなければならない」とう観念が強化されるでしょう。
例2 「普通でなければならない」という観念を持っていたとすると、友人から「変わっているね」と言われると嫌な感情が生まれ、「自分はダメな人間だ」というスキーマが生まれます。友人から「本当に変わっているね」と言われ続けると嫌な感情が湧き、余計に「普通でなければならない」という観念が強化されるようになります。
観念を変える方法
観念を見つけなければ観念を変えることはできません。スキーマ(評価)は見つけることができますので、スキーマ(評価)を見つけて、そのスキーマはどんな観念(判断基準)からきているのかと考えることから始めてみると、見つけやすくなります。
自分で変えるのは難しいので、カウンセリングに行って、認知行動療法をやってもらうことをおすすめします。